♪上野発の電車乗って降りたときからー、岩間駅は寒気のなかー。
今回はなぜか常磐線の特急に乗って山登りへ出発です。ネットで見つけた愛宕山〜難台山〜吾国山の縦走ハイキングコース、500m前後の低山の連なりなれど、アップダウンが激しく歩きがいがあると。また豊かな植生や展望も素晴らしいようで、隊員に話したところ、是非行ってみようとなったのであります。もっとも今は真冬なので、山は枯れ茶色でしょうが、葉を落とした枝越しに見る風景も好むところなので、期待が高まります。
上野駅7時30分発フレッシュひたち5号。余裕を持って出たはずなのに乗車はギリギリ。今日は勝田マラソンがあるらしく、車内は満席。かろうじて別々に空席を見つけます。石岡で乗り換え、後続の各停で2つ先の岩間駅へ。ここが今日の歩き出し地点です。
駅を出て斜め左へ伸びている道を一直線に進みます。正面にはこれから登る愛宕山。気温はかなり低め。
地図を間違えて覚えていたため、余計なところを左に曲がったり、しばらく歩いたところで手袋を落としたことに気づきUターンしたりとありましたが、15分ほどで山麓のハイキングコース入口へ到着。
岩間駅前からやや左手方向に真っすぐ伸びる道。正面にはこれから登る愛宕山が見えています。
ここがハイキングコース入口。
おお、地平線が見える! 野焼きの煙があちこちに立ち上っています。
車道を横切って、神社へ昇る階段に取り付きました。石段は長く、幅は狭く、傾いて、鉄の手すりが冷たく、そりゃあ大変でした。
ひーはー言いながらやっとたどり着いた愛宕神社本殿。時々太鼓がドーンドーンと鳴っており、お祓いをしているよう。ここは火防(ひぶせ)で知られた神社です。
神社西側の駐車場から眺めた絵。うーむ、ひたすら広い。地平線の右の彼方に光っているのは霞ヶ浦です。
初めての山へ一歩を踏み出すってことで、緊張感を持って樹林の中の木段をゆっくりと踏みしめていきます。しかし、あっというまに舗装路脇のレストハウスっぽいところに出てしまいます。陽射しもあり体温も上がってきたので、ここのベンチでアウター類を脱いで軽装になり再出発をしますが、はて、この先のコースはどっちだ? 2万5千の地図とは全然違うぞ…
左側は車道が登っていき、右手にはコンクリートの鳥居がたち芝の斜面が続いていますが、どっちを行くのか分からず適当に芝の踏みあとを登っていきます。結局そのあとは車道と交差し、そこにあった標識の「左←旧道」・「右→新道」から先は未舗装の旧道を選択。
旧道の途中にあった東屋では右から左まで続く地平線が望めます。空は真っ青。空気は冷たいけれど陽が射しているから暖かい。言うこと無しのコンディションです。今日はこの先も、とにかく眺望の良さに惹かれ、あちこちに立ち寄っては景色をカメラに収めまくりで、なかなか先へ進みませんでした。
先ほどの新旧の道が合流したところから右手の山頂へ向かって、神社本殿まで石段が続いています。ここはけっこう長くて辛かった。手すりにつかまらないとちょいと怖い踏みシロの狭さ、でもずっと手すりにつかまってると、凍ってしまいそうな冷たさ。手袋を取り出せばいいのですが、めんどくさいというか、思いつかなかったというか…。
登り切って息を整え、神社へ参拝し、神社右手にある観望台からまたしばらく景色を眺めます。汗が引いた頃に次の行程へ。先ほどの階段を少し降りた地点でコース指示板を見つけ、今度は横へ歩き出します。さっきとは別の石段をしばらく下ると大鳥居の先の広い駐車場へ。ここには売店もありましたが開いていたかどうか不明。コース上のトイレはここが最後のようです。ここでもしばらく撮影に興じてから出発。ロッジが立ち並ぶ下の道を歩いた先にまた駐車場。そこを左に折れたところでようやく本格的なハイキングコースが始まりました。
「見晴らしの丘」へちょっと寄り道。ここからの展望も素晴らしい。
始まったばかりなのに、「←鐘転山」の標識を見て、面白そうだから行ってみようと。左へ曲がったすぐ先がまっ平な高台になっており、ベンチが2つ。ここも眺望が良いんで、ここで隊員が取り出したチョコパンを食べながらしばしの観望を。ここには「見晴らしの丘」という表示がありました。鐘転山自体は違うコースのようなので、またもとの道へ戻ります。しばらくは楽な道続きで、奥高尾の稜線歩きのようだとかナントカ、隊員と話しながら歩いていたのですが、南山展望台に登る手前あたりで、かなりの急登が出現。これが噂に聞いたアップダウンの始まりでした。
高低差は数十mですが、何が大変って一直線にてっぺんに向かって道が作ってあること。木段や木の根や岩などのとっかかりが全くない平板な急斜路は登り辛いことおびただしい! 地元の小父さんが道幅いっぱいに使ってジグザグに登っていくのを見上げ、あれを真似しようと思ったのですが、ジグザグに歩くと距離が長くなるな、損だ。とかセコいことを考えて…。ふくらはぎをパンパンにしながら登っていったのであります。
南山展望台。
南山展望台へと登って来た道。
まだまだ続く急登、急登、また急登。
伐採でぽっかりと開けた東側斜面からの眺め。左の山が愛宕山で右の方へ時計回りでやって来ました。
展望台を過ぎ、一旦、団子石峠へ降りてからの登り返しも小ピークが連続し、ヒー、またか、とばかりに呻きがもれます。今日は先日買ったばかりの、卸したての登山靴を履いており、登りで踵が擦れるな、あとでマズいことになりそう、そんな予感がしはじめます。
これのどこが団子であろうか? 「団子石」と看板のつけられた石を過ぎ、幾つ目かの急登を登り切ったところで、隊員が右にふらっと曲がっていきます。「なんだ、なんだ?」と思って後からついていくと、おお、なんという眺望! 一帯が伐採してあり、愛宕山の裾野から始まって、これまで歩いてきた稜線が一望のもとに目に入ってきます。登り切ったあとの息があがった状態だったのもあり、切り株に腰掛け、しばし放心状態。見た目の錯覚なのですが雲が目の高さに浮いているようだとか、ここに家を建てたら最高だよなとか、ぼーっとしながらそんな事を思っていました。しばらくして、ああそうだ、写真写真と、カメラを取り出し、雲や地平線を撮りまくり。隊員はその間、ずっとチョコパンを食べています。
獅子ヶ鼻に着く頃から分厚い雲が。
鼻の下?
少し行った先に獅子ヶ鼻という突き出た岩がありました。その鼻の下辺りって意味なのでしょう、前掲の写真は。ところで隊員はこの岩を見て、三越の獅子そっくりだと盛んに言っていましたが、私はなんのことやら分からず、「へえ」とか「ほお」とか、適当な生返事を返しときました。
獅子ヶ鼻からは筑波山がきれいに見えます。
屏風岩。写真で見て想像していたよりも遥かに大きい。写っている隊員の身長は17m169cmあります。
難台山を目指す道は続きます。「鼻の下」や「獅子ヶ鼻」と、いろいろと出てきますが、面白そうなのは立ち寄る我が隊。その度にそこからの眺めに感嘆します。この頃から雲が多くやや厚くなってきたようで、日が遮られると一気に温度が下がるよう。あわせて風も冷たくなります。
ぼちぼち岩が目立ちはじめ、そろそろ頂上が近いかなという頃、「←入口」の看板が出現。んー、なんの入口だろう?と二人で話し合いますが見当もつかず。入口って名前の集落に降りていく道だろうと勝手に解釈し、今回はパスしてそのまますたすたと。ちょっと行くと今度は「←屏風岩」の看板。ああ、さっきのは屏風岩の下からまわっていく入口だったのかと、これまた勝手に解釈。
その屏風岩。事前に写真で見ていたより実物はずっと大きく、よくこんな風に岩がスパッと切れているもんだなと感嘆。しかしながらここは寒風が通り抜けるところで、いつまでもじっとしていられず、隊員は先に戻ってしまいました。
後を追って本コースに戻り、岩場を少し越せば、そこが難台山の頂上でした。
難台山頂まじかの山道。
山頂の祠。広場。葉を落とした木。枯れ葉。そして写真には写らなかった寒風。
落ち葉で敷き詰められた山頂に着いて目に飛び込んで来るのは、石でできた小さな祠。その先にある銀色に光る台。そして廻りをぐるりと囲む枯れ木。ハイカーも何人か休憩中です。風があるので皆、風を避けるような位置に陣取っています。今日はここまでに十数人のハイカーとすれ違っています。「ほとんどが愛宕山の駐車場に車を停めてここまで往復しているよ」 そんな話を聞かせてくれた小父さんによれば、ここは地元の人たちの定番コースとのことで、最近は東京からもけっこう来るようになったそうです。このアップダウンのキツいコースを毎週のように縦走していれば、無茶苦茶脚力が付きそうです。
我々がおにぎりを食べている間に、皆さん愛宕山の方へ戻っていきました。仲良くなった小父さんとも別れを交わし、隊員もチョコパンを食べ終わったようで、誰もいなくなった山頂をあとに、我が隊も最後の行程へと踏み出します。ただですね、ここに登って来るまでに靴擦れが相当酷くなったようで、うーん、ちゃんと歩けるかなと、若干の心配はありました。はい。
一見、夏のようなんだけれど、緑がない。
道祖神峠まで降りて来たところで、緑色が戻って来ました。
道祖神峠から振り返って。左側から降りて来ました。
難台山から北西方面へ下る急坂は、残った雪がそこここで凍っており、つるっつるでした。これは超怖い。ここで滑ってしまえば遥か下まで滑り落ちるだろうなって思うと余計怖い。慎重に、一歩一歩確かめながら降りるので無茶苦茶時間がかかる。コースタイムでは40分となっていましたが、1時間以上かけてやっとこさ道祖神峠に降りて来たのでした。
この下り道の途中にも2ヵ所、きつめの小ピークがあり、登るたびに踵がズキズキズキッ! 始めのピークを降りたところで靴下を脱いで見てみれば、やっぱり見なきゃ良かったと思うような靴擦れです。こうなると応急テープを貼ってごまかしても、痛いだけで歩いてても全然楽しくない。
急坂を下り終えた頃に、「こんなこともあろうかと、岩間駅前にあったタクシー営業所の電話番号を控えて来たのだ」って隊員に問えば、いいよ、今日はここでやめようと、天使のようなお言葉。
峠の車道脇でタクシーを待つ間、狭き門まで未練たらしく見に行ったり、梅の一木の写真を撮ったり、でもこんなに待つなら吾国山往復できたかも?なんて無理な話をしたり。狭き門の前で、次回はここを通過するよと誰にともなく誓ったので、だから今日はまあいいか。
電話に出たタクシー会社の人に、この道祖神峠の位置を説明するのに大変な手間がかかりましたが、寒さが頂点に達する頃にやって来たタクシーに乗り込み、今日歩いた稜線の南側を走っていけば、その高低差は一目瞭然。「今日は寒かったべ。富士山は見えた?」「この辺りは柿の産地だぁ。」なんて話を聞きながら車は一路、駅へと向かうのでした。
峠に咲いていた可憐な梅。まるで僕のよう!
長めの距離を歩くとわかっているのだから、履き慣れた靴で行けば良かったのに、どういうつもりか新しいのを試してみたくなったのが、今日の結果の全て。
でも、新調した靴はけっこう高かったんで、なんとか履きこなさないと勿体ない。キツ過ぎて痛いんじゃなく、靴の中で足が動きすぎて靴擦れになったようで、近々、購入したさかいやへ持って行き相談いたします。はい。
(2011.1.31 隊長n記す)