大月までスーパーあずさ1号に乗った場合、その先の特急が通過する初狩や笹子、甲斐大和へ行くには、後から来る各駅停車に乗り換える必要があります。スーパーあずさの大月着は7時55分。乗り換える普通電車が8時18分発。なので23分間をホームで待つのですが、この時間がもったいないと思うようになってきました。
着いてすぐ、大月駅から歩き出せばもっと早く山に着くよな?と考えてネットで探せば、駅の目の前にある菊花山が登れるらしい。それも好展望の山らしい。
ならば登るしかないでしょう、これは。
ところで山に登る目的は人それぞれですが、その中には富士山を見るためってのもあると思います。
ご多分に漏れず、我が隊のメンバーも富士山を見るのが大好き。
この菊花山の山頂からも富士山は良く見えるらしいのですが、小1時間ほどで登れる山なので、そのずっと先の九鬼山までの縦走を計画しました。
菊花山から九鬼山へ至る縦走路の途中にも幾つかの富士山好展望地があるらしい、という情報を仕入れた我が隊は、ますますこの山に白羽の矢を立てたのでありました。
大月駅を出て南へまっすぐ数分ほど。突き当たりが菊花山ですが、登山口のある無辺寺へはバイパスの一つ手前の四つ角を右折し、道なりに進みます。
無辺寺の登山口につくまで少しまごついてしまったのと、途中コンビニで買い物をしたので、登り出しまでに結局30分ほどかかってしまいました。無辺寺の入口で落ち葉を掃いてた住職?に正しい道を教えていただき、ようやく登山のはじまりです。
登りはじめてしばらくすると、道は西側へと回り込むように進みます。回った先にはおなじみの高川山がでーんとありました。右奥の尖った三角形は鶴ヶ鳥屋山です。
初冬って感じの色です。
どんどん登っていくと、こんなようないい感じの所も現れてきます。
そして、いきなり富士山。
もう感涙。じゃなくてこの日は鼻水が止まらなかった!けっこう暖かな日だったのに。
この日、空はどこまでも青かった!
麓を走る電車の音は、山の上にも良く聞こえてきます。富士急や中央線の列車が通るたびに立ち止まり超望遠での撮影に余念のない鉄ヲタの隊員。なのでなかなか前に進みません。
菊花山の山頂へは両側の切り立った細い尾根を歩いていきます。この先の頂上直前にはかなり狭いところも。
登り出しは山の北側斜面に取り付くため、日が射さずに暗く、また濡れた落ち葉が積もって滑り易かったりで、あまり意気揚々というわけにはいきません。さらに途中には靴の幅程度のトラバース(斜面を斜めに登る道)もあり、結構ヒヤヒヤする所もありました。
でも登山道が西側へ回る頃になれば、頂上越しの日が射すようになり明るい雰囲気に。そして富士山も視界に飛び込みはじめ、こりゃ楽しいわい!とばかりにズンズン登っていけます。
岩が多くなってくれば頂上も間近。山頂近くでは尾根がかなり狭くなった所もあって隊長はかなり腰が引けていましたが、それでもここまでは軽く汗をかく程度で登ってこられました。
菊花山登頂!
菊花山頂上から富士山を見ます。この広々感がたまらない。
うねうねと蛇行しながら東へ伸びる中央道。
真正面には岩殿山の岩壁がドーンと。
この眺望、菊花山侮りがたし!
山頂で写真を撮って少し休憩したのち、次の目的地の馬立山へと出発します。
山頂から一旦150mほど降りた樹林帯の按部を過ぎれば、道は沢井沢の頭を目指して再び登りとなります。
このコース上には倒木が多く、また過ぎてきた菊花山をはさんでいるので麓の音も届かず、標高の低さを全然感じさせない、静かな山行です。
ただ、この菊花山頂を降りた所でイノシシを撃つという数人のハンターとすれ違い、また、そのあと遠くでパーン、パーンと銃声が聞こえてくるので少し緊張します。念のため、今回は犬の遠吠えは封印です。
ハンターから熊はいないって聞いていたのもあったけれど、隊長曰く、怪しい獣に間違えられて撃たれるから止しなさいと。
菊花山から一旦くだって沢井沢の頭への登り返し、きつくてもうだめだぁ!
なんつって。
たどり着いた沢井沢の頭の空はこんな色。超気持ちいい!
岩殿クラブ謹製の指導票。いつもお世話になっております。
菊花山から一時間で沢井沢の頭、御前山との分岐点に着きました。沢井という名の沢をずっと上がってきた一番高い所、って意味なんでしょうか?
ここまで快調に歩いてきたのですが、前回の本社ヶ丸での下山時に靴紐を締めすぎて鬱血した部分がまた少し痛み出してきました。隊長と相談し、15分ほど歩いた先にある馬立山まで行ってみて、その時の状態で改めて下山か続行かを決めることにしました。
馬立山の登頂成功を祝し、ばんざーい。
馬立山に着いた段階でも、痛みは酷くなるようだし、また 隊長不良もあって 隊長の体調も万全ではないってことで今回は九鬼山を諦め、田野倉への尾根を通って下山することにしました。
馬立山から九鬼山へと歩く道を10分ほど進んだ所で田野倉への分岐点が現れます。脚は少し痛いって程度だったので名残はあったのですが、隊長が今回は無理はしないと強く言うので、ここから西へ進路を取ります。
馬立山から先のコースも、所々で木の間から富士山を望めます。
九鬼山を横に見ながら、田野倉への稜線をのんびり歩いていきます。
そして現れたのが銭湯の富士山かってくらい、美しい日本的な光景。
あまりの眺望の良さに隊長も「グッジョブ!」
ススキも入れて撮ってみました。秋だなぁ。
この場所から九鬼山を望んで思うのは「あそこら辺を歩いてるはずなんだよな…」
でもね、こっちの道が最高に良かったんで、今回はこれもありだなって思いました。そして、またこの道を歩きにこようって隊長と話したのでした。
この登山道、最高に気分がいい!
この道は始終風が吹き常に木がザワザワと鳴っていました。
ごく稀に現れるリンドウが楽しませてくれました。隊長にこの花の名前を聞いたら「山に咲くものはアタマにミヤマを付ければたいてい合っとる」という豪快な答えが。ホントかよ!
このあたりで一本だけ生えていたモミジ。どうやってこの一本だけが育ったのか凄く不思議。
途中、あまりの眺望の良さに20分も立ち止まって写真を撮りまくったりとか、高尾・陣場の地図には「巻く」とある677.3mの植野山へ直進してしまって引返したりとか、動画を撮ったりとか、麓近くになってやっぱり脚がズキズキと痛み出したりとかもあり、1時間強のコースを2時間近く掛けて、本当にのんびりと麓へと降りてきたのでした。
今回、隊長の決断は大正解だったのです。
予定は大きく(短く)変わったけれど、これでもかってくらい富士山の遠望も堪能し、不思議と充実した山行となったのでした。
辿ってきた馬立山からの稜線を降り、暗渠のコンクリート道を左に歩いたすぐのところにある神社、祠、ご神木です。
山の神様、ありがとうございました。
この祠を背にして右側に、下の道路へ出る小道があります。そして小川を渡って舗装路を右に道なりに歩けば田野倉駅手前の踏切にでます。
踏切を渡れば田野倉駅はすぐそこ。
振り返れば、登るはずだった九鬼山が。
富士山に始り、富士山に終わった山行なのでした。
(2009.11.16 隊員n記す)