今年の登り納めは陣馬山へ登ってそのまま下山するか、少し余裕があれば明王峠まで脚を伸ばそうという軽いハイキングのつもりでした。
しかし体力・脚力ともに余裕のあった我が隊、途中の景信山で少し休憩しただけで結局高尾山までガンガン歩き通したのでした。
菊花山・馬立山の山歩きから間が空くこと一月ちょっと、スネの炎症もほとんど癒えた隊員に、新しいウェアを試したい隊長と、どちらもこの日を待ちかねていました。
自宅から電車を乗り継いで降り立った藤野駅はホームが一本だけの小さな駅。冬の朝の低い陽射しが眩しいなぁと詩的な感想を抱きつつ、さっそく登山口目指して歩きはじめます。
トンネルを抜け、川の流れにそってどんどん車道を歩いて行きます。
ここ、藤野は何方かもネットに書いていましたが桃源郷を思わせるような、ほんわかとしたところ。ここに住んで毎日この辺りの山歩きが出来たら最高だなぁなんて能天気なことを考えながら歩いていると陣馬山登山口のバス停に到着です。そこを右に入ってすぐの二股を今度は左の一ノ尾根方向へ。そこからしばらくコンクリートの舗装道をウネウねと曲がって登ればいよいよ登山口、山登りの開始です。
藤野駅から歩き出し、長いトンネルを抜けた先にあった看板。気合い入れて作られてます。
一ノ尾根の登山道にたどり着いてのんびり歩く隊員。木漏れ日が暖かな日でした。
日の射さないところには霜柱が。サクサクする感触が子どもの頃を思い出させてくれるよ。楽しい!
ヘビの様に巻きつく木。人為的なのか自然の成す不思議なのか、とにかく???
標高を上げて行けば、麓の方まで雪を冠った富士山が目に飛び込んできます。
ここは良く知られている登山道のようですが、今日は途中で出会ったのが2〜3組のパーティーだけ。それに冬の低い気温は登って行く身体には快適で、足取りも軽く歩を進めます。
所々のポイントで樹々のあいだから雪をまとった富士山が見えています。隊長はその度に撮影しています。隊員は早く頂上へ着いて、スカーンと全貌を眺めたい一心で、ほとんど立ち止まることなく歩を進めます。
途中、冬用のジャケットを脱ぐために立ち止まった一回に、駅を出発してから丁度一時間経ったところでの小休止と、都合二回休んだだけで歩き通せるくらい比較的緩やかな尾根道を登ること一時間半、登山道がそれまでの緩やかさから一転して急なつづら折れの道になれば、いよいよ頂上だなと踏み込む脚にも力が入ります。
しかーし、なんか嫌な予感がしたのでした。果たしてそのつづら折れを登りきった先にあったのは頂上ではなく、頂上へと続く木段の連続…。最後の最後にこういう試練があるのって、辛い〜。
でもゼーハーと息をつきながら登った先にあったもの、それは素晴らしい眺望でした。
山頂から見た西の方・三つ峠〜生藤山の方向はこんなに広々と開けており、思わず歓声が出ました。さすが、展望の山と言われるだけあります。
頂上では既に数十人のハイカーが、三々五々集まって昼食を楽しんでいます。我が隊も一番近いところにあった茶店へ転がり込み、さっそくおにぎりと、注文した熱々のうどんずずーっと。この季節、歩いている時はちょうど良いか、やや暑いくらいでも立ち止まればやはりスーッと冷えてきます。
そんな時には、冬の山歩き用に買ったサーモスから熱湯を注いで作るスープが旨い!
富士山を正面に、しばし至福の時間を過ごしたのでした。
富士山もバッチリ!いつ見ても、何度見ても美しい山です。
山頂には何カ所かテラスがしつらえてあり、暖かな陽射しの中でのんびり昼食を楽しみました。
富士山の眺望をほしいままにするこのテラスは特等席です。
明王峠への途中でポーズを決める隊長。
小一時間を過ごし、さてこれからどうしようか? このまま下山するには力が有り余ってるよなってことで、とりあえず高尾方面の明王峠まで行ってみようと再出発です。
山頂から木段を少し下って歩き出したころは、いつものノンビリしたペースだったのですが、すぐ前を歩く二人連れのペースと微妙に合わない。うぅーんと逡巡すること数百メートル、道が少し広くなったところで「お先に!」と抜いた瞬間から脚に火がついてしまったのです。
スタタタターッと歩くこと30分で着いた明王峠で、隊長に「どうする?」と問えば「このまま行こう!」と即答。
「ん?このまま相模湖に降りるってこと?」
「ノォーッ!、高尾山よ!」
「ッしゃあー!」
みたいなノリになってしまった我が隊、もう止まりません。さらにズンズン歩くこと一時間で景信山に到着。ここで小休止しのどを潤しただけで、またさらに先を目指し、歩くスピードを緩めません。
小仏峠へサササッと下ってグッグッグッと登り返せばもうすぐに城山。今までは、追い抜かれてばかりだった我が隊ですが、今日は逆、他のパーティーを追い抜き追い越しで、気がつけばもう、もみじ台。
シルエットの向こうに霞む富士山、そしてずいぶんと傾いた太陽、ワーォ、良く歩いたなぁ
明王峠から写真も撮らずにひたすら歩き続けて、ようやくたどり着いたもみじ台では、太陽はもうこんな低いところに。このあと太陽は、やや右下に雲をまとって薄く見えている富士山頂へと没するのでした。
(2009.12.24 隊員n記す)