n2山岳隊 が行く!

高川山(たかがわやま)

2009年8月29日(土)

初狩駅(8:24着/8:25) ── 登山口(8:50) ── 女坂合流点(9:48) ── 山頂(10:30〜11:20) ── 古宿/下山(12:50) ── 禾生駅(13:20)

2001年に結成されたn2山岳隊の第一回山行は、山梨県大月市と都留市にまたがって聳える(?)高川山へ行くことと決めていました。初登山の山をどこにするかを調べていた隊員nがインターネットで見つけたのが始りです。
身近な高尾山でも良かったのですが、人気が高く混みそうなのと、高さ的にいまひとつ物足りないかなという、あとで思えば大変間違った考えで、はなから外してしまったのでした。
新人隊員nの用具もぼちぼち揃い、機運も熟したと判断した隊長と隊員n、8月最後の週末に行くことに決定します。(機運が熟すのに8年もかかったんかい!)
あとは天気次第ですが、どうやらお昼過ぎ迄は晴れていそう。前日金曜日の夜に雨具と飲料・食料を買いそろえ早めに就寝。のはずですが隊員nは遠足前の興奮状態でなかなか寝付けません。

さて当日、新宿駅7:00発のスーパーあずさ1号に乗るべく日の出前に起床した隊長は、おにぎりをせっせと握っています。
6時過ぎに自宅を出て着いた新宿駅の特急ホームはかなりの人の列。うわっ、こりゃ座れるかはギリギリだな。
なんとか座れた車内(隊長、隊員は並んでは座れませんでした)では「本日は指定席はすべて満席です。自由席からの変更は出来ません…」の放送も。
発車時点で通路に数人だった立つ人も、立川、八王子と停まるたびに増え、大月まではぎっしり。降り際、通路に座ってたおばちゃん4人グループに「どこ迄行くの?富士山登るの?」って聞かれますが、いやもっと低いとこですよ、えへへへっと笑ってごまかし、大月下車。新宿からは55分です。
大勢降りた人たちは富士急乗り場へぞろぞろ。登山の格好をした人たち、みんな富士山に登るのかな。
でも我が隊は大月駅ホームで待つこと20分、後続の各駅停車に乗り一駅先の初狩駅へ向かいます。
午前8時24分初狩駅着。いよいよここからです。
ところが登山口に着く迄の舗装路が熱いし暑い。30分程灼熱の急坂を上ってようやく登山道入口にたどり着きます。

午前8時50分、今度こそいよいよ登山開始。ここからしばらく歩けば道は沢沿いの樹林の中へ。風は無いのですが直射日光にさらされず(温度的には)快適です。ですがひたすら上り道を歩いているのでうも既に汗だらだら。
しばらく登ったところで隊員nは汗々になった街用のTシャツを山Tに着替えるため休憩を要求します。初登山の隊員nはもうかなりへばっていますので注意力も散漫になっていました。着替え終わってさあ行くかとリュックを背負い直した際、ウエストベルトに付けていたカメラケースごとデジカメが谷底へ、カラッ、コッ、サササ…って。呆然とする隊員n。「危ないからリュック背負って覗き込んじゃ駄目!取りに行こうなんて考えちゃ駄目!」と隊長の厳しい言葉。ごめんなデジカメ!
後悔とともに激しく落ち込みながら、ここで諦めてはならぬとまた歩き出したのです。
が、出発前に張り切ってザックにいろいろ詰め込みすぎた隊員nは限界寸前のよう。心拍数は跳ね上がり、脚も思うように前に出ません。
一週間前に買った初めての登山靴は、慣しのためにずっと通勤で履き続け、結果ぴったりと脚に馴染んだと思っていたのにこの山中では容赦なく足を締め付けてきます。おまけに目眩というか頭がボウっとしだし、えぇっ!これが噂に聞く高山病なのか!でもまだ標高700mだぞ!
これ、深くかぶっていた帽子を取って頭に浅くのせるだけにしたらすーっと良くなりました。帽子のゴムがキツかったんですね。

さて、隊長はバテバテの隊員nを気遣ってしきりに荷物を少し寄越せ、私が背負うからと、経験者らしい余裕の声を掛けてくれます。忸怩たる思いでおにぎりと凍らせたジュースを隊長に預け、しばらくは人心地着いた隊員nですが、やがてまた心臓バクバク状態でグロッキー寸前。
ヒィヒィ言いながら、もう二度と山はごめんだ、もうあきらめて帰りたい、もっと低い高尾山にすれば良かった等々の情けない思いがぐるぐる駆け巡るなか、なんとか女坂との合流点に着きました。(午前9時48分) 我が隊は沢コースを登ってきたのであります。
この合流点を過ぎたあたりから涼しく気持ちのいい風が吹いてきます。これでやっと少し元気に。さらに進んで男坂との合流点の先にある大きな平らな石に腰掛けて小休止。水を飲み飴をなめ風に吹かれていると、男坂を登ってきた登山者が追いつき挨拶を交わします。はじめて山で「こんにちは」と言えた隊員nは表情にこそ出さなかったけど、内心もの凄く感激したのでした。一度やってみたかったんだよね、これ。
ところが、ここから尾根に上がってからは山頂も近いよと、隊長はすいすい先行して行きます。「じゃ、先に行ってるからね!」…
取り残されて呆然とする隊員n。
ひどいよ隊長め、なんて思いながらきつい最後の登りを越えた先に見えたのは、犬の顔でした。

午前10時30分、高川山を縄張りとする登山犬ビッキーが出迎えてくれる中ついに登頂成功。
青空と白い雲と風が超気持ちいい!と人並みな感想ですが、その気持ち良さが地上で感じる10倍くらいの気持ち良さ。激しい疲労の後だけに心底ほっとしました。
高川山山頂の名物?でもある富士山の眺望ですが、富士山頂は雲がかかっておりその美しい全容を見ることは叶わず。
しかしこちらの山頂からは、全周に渡って見渡せる景色の良さが最高。荷物の中で心理的に一番重かった双眼鏡を取り出しいそいそと覗いてみるのが、これが麓を走る富士急の駅だったりするのは鉄ヲタだからです。

景色を眺めつつ隊長が準備してくれた山頂の定番メニュー、キュウリの生ハム巻きとか食べたり、水筒を開ける音に反応して寄って来たビッキーに水を上げたりしてまったりと山頂での時間を楽しみます。
そうそう、特筆すべきは凍らせたジュースの旨さ!飲んだ瞬間、破顔一笑ってなくらい旨かった。

takagawayama.gif

11時20分、登ってきた初狩とは反対方向の富士急・禾生(かせい)駅を目指して下山を開始します。
下りはじめの最初だけは、隊員nは快調に飛ばし隊長を置き去りにする程の余裕をかましましたが、ほどなくして落としてしまったデジカメのことなどを語りながらの淡々とした下山に。
隊員 あの時、未練がましく谷底を覗き込む俺に向かって「危ないから回収は絶対無理だよ!」って言ってたよね?
隊長 うん。
隊員 じゃあ奥さんが谷底に落ちた時も危ないから放っといていいの?
隊長 あのなぁ…、絶対 回収 救助しなさい!

そんな事を喋りながらひたすら樹林の中を下って両名とも足ががくがくになるころ、ようやく麓の禾生側登山口へ到着しました。隊員nにとってはひたすら暑く長い下山行でした。
この登山口で隊長はスニーカーへ、隊員はサンダルに履き替え、足取りも軽く禾生駅まで、といきたいところですが、炎天下の車道もひたすら暑かった。乗り込んだ禾生駅13時34分発の富士急電車内の涼しさはまるで別世界でした。

富士急に乗って三駅で終点大月へ、そこから缶ビールを買って乗った大月14時05分発の特急かいじ号の車内で今回の山行について隊長と隊員は感想を述べ合います。残ったおにぎりやきゅうり、生ハムをつまみに飲むビールが旨いのなんの。
でも隊長は八王子が限界で後は新宿までまるで昏睡状態のよう。帰宅後いろいろ後始末をしてから反省会をしに行った近所の焼肉店で飲み食いするすべてが、これまた激ウマ。
そこで今回の山行の良かったこと・反省点を話しましたが、隊長からは「高川山は隊員nにとっては直登・急登すぎたかもしれない。それと荷物が多すぎた。双眼鏡やウインドブレーカーはいらないだろう」とのお言葉。あと隊員nは二ヶ月程前から今回に備えトレーニングをしていたが根本的に体重を減らさないといけないであろう、との意見も。隊員nにとっては大変耳に痛い言葉でした。

帰宅後当日は、とてもじゃないが二度とは無理だと密かに感じていた隊員nでしたが、一夜明けた今日、また次の山へ行ってもいいかななんて思っているようです…。

(2009.8.30 隊員n記す)